WordPress運用でやってはいけないNG事例
目次
はじめに
WordPressは世界中で利用されているCMSであり、中小企業から大規模メディアまで幅広く支持を集めています。
その理由は拡張性の高さと扱いやすさにありますが、自由度が高いからこそ誤った運用も生まれやすいという側面も存在します。実際に、ハッキングや表示不具合、検索順位の低下といったトラブルの多くは、日常の運用上の不備に起因しています。
そこで今日のコラムでは、WordPress運用において絶対に避けるべきNG事例を取り上げ、それぞれのリスクと正しい姿勢について詳しく解説します。
NG事例1:更新を怠る
WordPressの本体やテーマ、プラグインは日々進化しており、セキュリティ強化や新機能の追加、互換性の確保を目的としてアップデートが繰り返されています。しかし、これを怠ることはサイト運用における最大の落とし穴のひとつです。更新をしないまま放置してしまうと、公開された脆弱性を攻撃者に突かれて不正ログインや改ざんの被害を受けるリスクが高まります。特に有名な脆弱性は、攻撃の自動化ツールによって世界中のサイトを狙い撃ちにする形で利用されるため、「うちのような小さなサイトは狙われない」という考えは誤りです。
さらに、更新を怠ると新しいPHPバージョンやサーバー環境との互換性が失われ、サイトが突然エラーを起こすこともあります。これは「昨日まで普通に表示されていたのに、ある日突然真っ白な画面になった」という事例として現れることが多く、ビジネスの信頼を一瞬で失う結果につながります。更新は「時間があるときにやればよい作業」ではなく、運営を継続するための必須作業であることを理解する必要があります。
NG事例2:不要なプラグインを入れすぎる
プラグインはWordPressの利便性を飛躍的に高めますが、これを無計画に増やしすぎると逆効果になります。プラグインが増えるほど、サイトの動作は複雑化し、表示速度が低下してユーザー体験を損ないます。現代のユーザーは数秒の表示遅延で離脱してしまうため、売上や問い合わせにも直結する深刻な問題になります。
また、プラグイン同士が干渉し合うことで思わぬ不具合が発生することもあります。例えば予約システムとSEO対策プラグインを同時に導入した結果、一部の機能が動作しなくなるといったトラブルは珍しくありません。さらに厄介なのは、開発が放棄されているプラグインです。こうしたプラグインを残しておくと脆弱性が放置され、攻撃の入口となる危険性があります。便利だからといって次々に追加するのではなく、本当に必要な機能に限定し、定期的に見直すことが大切です。
NG事例3:バックアップを取らない
サイト運用におけるバックアップは保険のような役割を果たします。しかし、実際には「まだトラブルに遭ったことがないから大丈夫」と考えてバックアップを軽視するケースが多く見られます。ところが、サーバー障害や不正アクセス、あるいは単純な操作ミスで重要なデータを失う可能性は常に存在します。もしバックアップがなければ、蓄積した記事や顧客データは一瞬にして消え去り、復旧には莫大な時間とコストがかかります。
バックアップを軽視することのもう一つの問題は、心理的な安心感の欠如です。バックアップがきちんと取られていれば、万が一不具合が起きても冷静に対処できますが、そうでなければトラブル時に慌てふためき、誤った判断を下すリスクも高まります。したがって、バックアップは「いつか必要になるかもしれないもの」ではなく「必ず必要になるもの」と認識しておくべきです。
NG事例4:デフォルト設定のまま運用する
WordPressを導入した直後の状態でユーザー名が「admin」のままになっているケースは意外に多く、これは攻撃者にとって格好の標的となります。総当たり攻撃は世界中から自動的に行われており、複雑なパスワードを設定していなければ突破されるのは時間の問題です。こうしたリスクは、インストール直後に設定を変更するだけで簡単に防げるにもかかわらず、見落とされがちです。
また、パーマリンクをデフォルトのまま使い続けるのもSEOの観点から大きな損失です。「?p=123」といった意味不明なURLは検索エンジンにとって内容が理解しづらく、ユーザーにも信頼感を与えません。URLはサイトの顔の一部であり、適切に整備されていなければ企業やブランドの印象にも悪影響を与えるのです。
NG事例5:セキュリティ対策を軽視する
WordPressが広く利用されていることは、同時に攻撃対象として狙われやすいことも意味します。にもかかわらず、SSL化を怠ったり、ログインページに制限を設けずに誰でもアクセスできる状態にしていたり、セキュリティプラグインを入れないままにしているケースは少なくありません。これらはすべて攻撃者にとって絶好の隙を与えることになります。
さらに、セキュリティを軽視する姿勢はユーザーの信頼を大きく損ないます。ブラウザで「保護されていない通信」と表示されるサイトを訪れたとき、ユーザーはすぐに離脱し、二度と戻ってこないかもしれません。こうしたイメージの低下は一度失うと取り戻すのが難しく、ビジネス全体に長期的な影響を与えます。セキュリティ対策はコストではなく投資であると理解する必要があります。
NG事例6:安易に無料テーマを利用する
無料テーマは導入が簡単で魅力的に見えますが、運用におけるリスクを多く含んでいます。まず、開発が終了して更新されないテーマは脆弱性が放置されることになり、攻撃の的になります。さらに、無料テーマの中には不要な広告やスクリプトが埋め込まれているものもあり、利用者の体験を著しく損ねます。
見た目が良いからといって安易に導入すると、後々不具合が発生した際にサポートが受けられず、修正に余計なコストがかかることもあります。特に企業サイトにおいては、テーマ選びはデザイン性だけでなく安全性や将来的なメンテナンス性を重視することが欠かせません。
NG事例7:テスト環境なしで変更する
WordPressのテーマやプラグインを直接編集することで、意図せずサイト全体が表示できなくなる事例は少なくありません。特に本番環境で修正を行うと、サイトが一時的に利用不能になり、訪問者に不信感を与えます。
テスト環境を用意せず本番で作業することの問題は、単なる技術的なトラブルにとどまらず、企業の信頼にも直結します。顧客や取引先がアクセスした際に表示が崩れていれば、その企業の信頼性そのものが疑われることになります。テスト環境を持つことは、見た目の安定性だけでなく、事業活動の信用を守るためにも不可欠です。
NG事例8:コンテンツ更新を怠る
WordPressはコンテンツ管理システムであり、情報を継続的に発信することでこそ価値を持ちます。しかし、制作直後に記事をいくつか用意したまま更新が止まるサイトは少なくありません。情報が古いまま残っていると検索順位は下がり、ユーザーは「この会社は活動していないのではないか」と感じてしまいます。
更新を怠ることは、単なるSEOの問題にとどまらず、ブランド価値の低下につながります。特にビジネスにおいては、最新情報が常に発信されていること自体が信頼の証となります。定期的な更新は労力を要しますが、それが企業の姿勢を示す重要な要素であることを理解すべきです。
NG事例9:画像の最適化を怠る
画像を適切に処理せずそのままアップロードすると、ページの表示速度が大幅に低下します。ユーザーは待たされることを嫌い、すぐに離脱してしまうため、機会損失に直結します。さらに、検索エンジンも表示速度を評価項目に含めているため、最適化されていない画像はSEOにも悪影響を及ぼします。
画像の軽量化は単にファイルサイズを縮小するだけではありません。WebPなど新しいフォーマットを導入し、解像度や画質を維持しつつ効率的に圧縮することが求められます。こうした取り組みは一見地味に思えるかもしれませんが、ユーザー体験の向上と検索順位の安定に直結する大切な作業です。
NG事例10:運用体制を整えない
WordPressは公開して終わりではなく、継続的な運用が必要です。しかし実際には、専任の担当者がいないまま運用が放置されることが少なくありません。知識のある社員が退職してしまい、誰も更新できない状態に陥る例も多く見られます。
このように運用体制が整っていないと、更新が滞るだけでなく、セキュリティリスクや検索順位の低下といった問題が一気に表面化します。中小企業にとっては、専任の人材を確保するのが難しい場合もありますが、その場合は外部の保守サービスや制作会社に委託するなどの体制づくりが必要です。運用体制を整えないことは、事業の信頼を自ら損なう選択にほかなりません。
まとめ
WordPressの運用においてやってはいけないことは、どれも「手間を省いた結果、大きなリスクにつながる」という共通点があります。更新やバックアップ、セキュリティ対策は日々の業務の中で効果がすぐに目に見えるわけではありませんが、それらを怠れば積み重ねてきた資産を一瞬で失う危険性があります。正しい運用とは、表に見えない部分にこそ気を配り、安定した基盤を維持し続けることです。WordPressは自由度が高いからこそ、運営者が責任を持ち、適切な管理を行う必要があります。ここで紹介したNG事例を反面教師とし、堅実な運営を続けることが、長期的な成果と信頼を築くために不可欠だと言えるでしょう。
このコラムを書いた人
さぽたん
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