MySQLとMaria DBは何が違うの?
はじめに
ホームページ制作やWebアプリケーション開発に関わっていると、MySQLとMariaDBという名前をほぼ同じ文脈で目にすることが多いはずです。どちらも代表的なオープンソースのリレーショナルデータベースとして長年使われ続けていますが、「どちらを選ぶべきなのか」「互換性に違いはあるのか」「性能はどちらが高いのか」など、意外と正確に説明できる人は多くありません。同じような名前が付けられていることで混同されがちですが、実はこれら二つには歴史的な背景や開発体制、性能特性などに明確な違いがあります。特にWordPressをはじめとするCMSや、ECサイト、予約システムなどデータベース依存のサービスを運営している企業にとっては、その違いを理解することは決して無視できない問題です。本コラムでは、MySQLとMariaDBの関係性や特徴の違いを、実務者が判断しやすい観点から丁寧に解説していきます。
MySQLとMariaDBが生まれた背景
MySQLは1995年にリリースされ、Webの発展とともに急速に普及してきました。軽量で扱いやすく、オープンソースとして無料で使えることから、個人開発者から大規模サービスまで幅広く採用され、現在では世界的に最も使われているデータベースのひとつです。しかし2010年、MySQLを所有していたSun MicrosystemsがOracleに買収されたことをきっかけに、コミュニティの多くはMySQLの“将来性”に不安を感じはじめました。Oracleは商用データベースの巨人であり、オープンソースとしてのMySQLがそのままの形で発展していくのか、透明性が維持されるのか、といった懸念が出たためです。そこでMySQLの創設者であるMichael Widenius氏が、新しいフォーク(派生プロジェクト)として立ち上げたのがMariaDBです。「Maria」は彼の娘の名前であり、MySQLの精神を継承しつつ、自由で開かれた開発を続けるために生まれたデータベースでした。これが今日の“兄弟関係”といえる構図であり、両者を理解するうえで欠かせない背景になります。
開発体制とライセンスの違い
両者を比べる上で最初に注目すべきなのが「開発体制」です。MySQLは現在Oracle社が主導して開発を進めています。オープンソース版は誰でも利用できますが、商用版を含め開発ポリシーはOracleが握っており、意思決定の範囲もOracleが中心となっています。一方のMariaDBはMariaDB Foundationという非営利団体が中心に開発を行い、世界中の開発者や企業が協力するコミュニティ主導の体制を持ちます。リリース方針や機能の追加なども公開されており、透明性の高いプロジェクトとして認知されています。この違いは、主に安定性や将来性の考え方に影響します。長期的なロードマップを踏まえながら運用したい企業にとっては、どこが主導して開発しているかが、そのまま信頼性につながるケースも少なくありません。また、両者はライセンスにも違いがあります。MySQLはGPLで提供されていますが、商用利用ではOracleのライセンス契約と組み合わせることもあります。MariaDBもGPLを採用していますが、プロジェクト全体がオープンな形で進行しているため、ソースコードの透明性を重視する企業や開発者から強い支持を受けています。
互換性と機能の違い
MariaDBはMySQLから派生したため、当初は「完全互換」を目指して開発されました。多くの基本的なSQL文やテーブル構造、設定ファイルの記法、クライアントライブラリなどは、現在でも高い互換性を保っています。そのためWordPressやさまざまなCMSでもMariaDBがそのまま利用できるケースが多く、実務でも“代替可能”という扱いが一般的です。しかし年数が経つにつれ、MariaDBは独自路線の開発を進めるようになり、細かな機能差が増えてきました。たとえばストレージエンジンは代表的な違いのひとつで、MariaDBではAria、TokuDB、ColumnStore、MyRocksなど、多様なエンジンを標準で利用できます。MySQLもInnoDBを中心に発展していますが、MariaDBの方がストレージエンジンの選択肢は広く、特定のケースではより柔軟性の高い設計ができます。また、パフォーマンスやクエリ最適化などにも独自の改良が加えられ、MySQLのバージョンアップごとに両者の違いは少しずつ拡大しています。互換性は今も高いものの、「将来すべてが同じ方向へ進む」わけではないため、長期開発においては理解しておくべきポイントです。
性能と実務での評価
性能面では、用途によって優位性が変わるため一概に「どちらが速い」と断言することはできません。ただしMariaDBがコミュニティ主導で開発を進めていることから、新しい最適化技術やストレージエンジンの導入が積極的であり、読み込み中心のワークロードや複雑なクエリではMariaDBの方が安定して速いと評価されることがあります。また、同一バージョン番号で比較した場合でも、実際にはMySQLとMariaDBは内部が大きく異なっていることが多く、単純比較が難しいケースが増えています。反対に、MySQLはOracleの手厚い商用サポートがあるため、大規模システムや金融系プロジェクトなど極めて高い可用性を求める企業では、MySQL Enterprise Editionを利用することで信頼性を確保するケースも一般的です。つまり性能面の評価は“ケースバイケース”であり、開発規模、用途、データ量、サポート体制などを総合的に判断する必要があります。特にホームページ制作や中小企業のWebサービス運用であれば、MariaDBは十分な性能を提供することが多く、サーバー会社でもMariaDB標準提供の流れが加速しています。
将来性と選び方の考え方
MySQLとMariaDBのどちらを選ぶべきかを判断するとき、最も大切なのは「目的」と「運用方針」です。MySQLは依然として世界で最も普及しているデータベースであり、豊富なドキュメントやツール、安定したサポートが利用できます。企業としての歴史も長く、商用サポート込みで利用する場合は強力な選択肢になります。一方、MariaDBはコミュニティ中心の透明な開発体制があり、オープンソースとしての自由度の高さや先進的な機能が魅力です。特にホスティング会社やクラウドサービスでMariaDBを標準採用するケースが増えており、実務レベルでの受け入れは年々強まっています。また、WordPressのようなCMSにおいては、互換性の高さからMariaDBでも問題なく動作するケースが大多数であり、ホームページ制作の現場ではMariaDBを選ぶメリットが増えているのも事実です。将来的な方針としては、MySQLとMariaDBの互換性は今後も完全一致とはいかず、独自性が強まる可能性が高いと考えられています。そのため、長期運用を見据える場合は、自社の技術スタックや更新方針に合わせて慎重に検討することが求められます。
まとめ
MySQLとMariaDBは非常に似た名前を持っていますが、その背景や開発体制、互換性、性能、将来性などを丁寧に見ていくと、それぞれに明確な特徴があることがわかります。MySQLは歴史が長く、商用サポートも手厚いことから、大規模な企業システムや高い信頼性を求める場面で強みを発揮します。一方のMariaDBはオープンソースコミュニティの活発な開発によって進化を続け、軽量で柔軟な構成を求める中小企業やWebサービスとの相性が良い傾向にあります。どちらが優れているかという単純な話ではなく、目的や環境に応じて最適な選択が変わるため、両者の違いを正しく理解した上で選択することが重要です。特にホームページ制作やWordPress運営の現場では、MariaDBの柔軟さが活きる場面が多く、安心して採用できる選択肢と言えるでしょう。MySQLとMariaDBの関係性を理解しておくことで、より安定したシステム設計ができ、長期運用の判断もしやすくなります。Web制作に携わる人にとって、この知識は欠かせない基礎のひとつです。
このコラムを書いた人
さぽたん
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