ホームページに書かないほうがいい情報もある
目次
はじめに
インターネットが生活の一部となった現代において、企業や個人がホームページを持つことはもはや当たり前となりました。自分の活動やビジネスを広く知ってもらうために、できるだけ多くの情報を掲載して信頼を得ようと考えるのは自然な心理です。しかし、親切心から掲載した情報が、思わぬトラブルの引き金になったり、かえって利用者の利便性を損なったりすることがあります。
ホームページは世界中の誰もが、二十四時間いつでも閲覧できる公共の場のようなものです。一度公開した情報は、たとえ後から削除したとしても、誰かの手元に保存されたり、検索エンジンの記録に残ったりする可能性があります。そのため、何を書くかと同じくらい、何を書かないかという判断が非常に重要になります。
多くの情報を詰め込みすぎると、本当に伝えたい大切なメッセージが埋もれてしまい、読み手にとって使いにくいサイトになってしまうことも少なくありません。本コラムでは、ホームページに掲載を控えるべき情報や、慎重に扱うべき内容について、その理由とともに詳しく解説していきます。
個人を特定しすぎる詳細なプライバシー情報
ホームページを運営する上で最も気をつけなければならないのが、個人情報の取り扱いについてです。代表者の名前や連絡先を公開することは信頼につながりますが、あまりにも詳細なプライバシー情報を載せることには大きなリスクが伴います。例えば、代表者の自宅の住所や、家族構成、プライベートな行動範囲などは、悪意のある第三者に悪用される危険性があります。
ビジネス用のホームページであれば、オフィスの所在地を明記するのは当然ですが、もし自宅をオフィスとして使っている場合は、番地まで公開するのではなく、近隣の地図にとどめるなどの工夫が必要です。また、社員紹介のページなどで、本人の承諾を得ているからといって、個人の趣味や家族の話を深く掘り下げすぎるのも考えものです。それらの情報は親しみやすさを演出する一方で、ストーカー被害やなりすまし詐欺の材料にされる恐れがあるからです。
さらに、顔写真の掲載にも慎重さが求められます。最近では画像認識技術が飛躍的に向上しており、一枚の写真から撮影場所や個人のSNSアカウントが特定されることも珍しくありません。不特定多数の目に触れるという前提を忘れず、公開する範囲を「仕事に関係のある最小限の情報」に絞り込むことが、自分や従業員を守るための第一歩となります。
競合他社を攻撃するような比較や不満
自社の商品やサービスがいかに優れているかをアピールしたいあまり、他社製品を引き合いに出して批判的なことを書きたくなることがあるかもしれません。しかし、ホームページ上で他社を攻撃したり、一方的な不満を並べたりすることは、長期的には自分の首を絞めることになります。
まず、他社を卑下するような表現は、それを見た閲覧者に不快感を与えます。「自分の良さを語るために他人を落とす人」という印象を持たれてしまうと、たとえ商品が素晴らしくても、企業としての品格や信頼を疑われてしまうでしょう。結果として、本来得られるはずだった顧客を遠ざけてしまうことになりかねません。
また、根拠のない批判や行き過ぎた比較広告は、法律的なトラブルに発展する可能性も秘めています。事実に基づかない情報を発信して他社の営業を妨害したと見なされれば、損害賠償を請求されるリスクもあります。他社との違いを強調したいのであれば、他社を悪く言うのではなく、自社がどのようなこだわりを持ち、どのような価値を提供できるのかという「自分たちの強み」に焦点を当てて記述することが、賢明な戦略といえます。
専門用語の羅列と独りよがりなこだわり
自分の仕事に誇りを持っている人ほど、その専門性を示そうとして、難しい用語や技術的な詳細をぎっしりと書いてしまいがちです。しかし、ホームページを訪れる人の多くは、その分野の専門家ではありません。むしろ、何か悩みや疑問を持っていて、それを解決してくれる相手を探している「初心者」であることが多いのです。
専門用語ばかりの文章は、読み手にとって高い壁となります。内容が理解できないと、ユーザーは「自分には関係のないサイトだ」と判断して、すぐにページを閉じてしまいます。また、開発秘話や技術的なこだわりを長々と語りすぎるのも注意が必要です。作り手側の熱意は大切ですが、それが読み手の「自分にとってどんなメリットがあるのか」という疑問に答えていなければ、単なる自己満足に終わってしまいます。
情報を整理する際は、常に読み手の視点に立ち、最も分かりやすい言葉を選ぶことが大切です。高度な技術内容を載せたい場合は、別ページにまとめたり、資料請求の形をとったりするなどして、トップページや主要な案内は誰もが直感的に理解できる内容に留めるべきです。相手を置いてきぼりにしない姿勢こそが、誠実な情報発信の根幹となります。
古くなったままの情報や未完成のページ
ホームページにおいて、更新されていない古い情報は、間違いが載っていることよりも信頼を損なう場合があります。例えば、数年前のキャンペーン情報がそのまま残っていたり、既に終了したサービスの案内が掲示されていたりすると、閲覧者は「この会社は今は活動していないのではないか」という不安を抱きます。
また、メニューの中に「準備中」という文字が並んでいるのも避けるべきです。リンクをクリックした先に中身がないという体験は、ユーザーにとって非常にストレスがたまります。コンテンツがまだ完成していないのであれば、最初からメニューに表示させない方がはるかに親切です。不完全な情報をとりあえず出しておくという判断は、プロフェッショナルとしての意識が低いと受け取られかねません。
情報は常に新鮮である必要があります。一度公開したからといって安心せず、定期的に内容を見直し、現状と食い違っている部分は速やかに修正するか、削除しなければなりません。情報量が多いことよりも、今載っている情報が正確で最新であることの方が、ユーザーにとっては価値が高いのです。管理しきれないほどの情報を掲載するのではなく、自分たちが常に目を行き届かせ、責任を持てる範囲で運営していくことが重要です。
内部事情や確定していない未来の話
会社の中の雰囲気を見せるために、社内行事や日常の風景を公開するのは良い手法ですが、そこで内部の事情を明かしすぎるのは危険です。例えば、進行中のプロジェクトの詳細や、まだ公表していない取引先の名前、あるいは社内の人間関係の悩みなどを、個人のブログのような感覚で載せてしまうのは避けなければなりません。
これらは守秘義務に抵触する恐れがあるだけでなく、企業の危機管理能力を疑われる原因となります。取引先からすれば、「自社の情報もどこかで漏らされるのではないか」という不信感に繋がります。また、今後やりたいと思っている計画や、まだ確定していない構想を大々的に書くのも慎重になるべきです。期待を持たせるのは良いことですが、実現しなかった場合に「嘘をついた」と批判されるリスクがあるからです。
ホームページは公的な発表の場であるという認識を強く持ち、感情に任せた書き込みや、内輪だけで通じるような話は避けるのが無難です。信頼というものは、積み上げるのには長い時間がかかりますが、一回の不用意な発信で崩れ去ってしまうものです。公開ボタンを押す前に、その内容が外部の人にどう見られるか、一歩引いて客観的に確認する習慣を持つことが求められます。
おわりに
ホームページを運営する上で最も大切なのは、情報を詰め込むことではなく、読み手にとって本当に必要な情報を整理して届けることです。何でも書けば良いというわけではなく、プライバシーの保護や、他者への配慮、情報の正確性、そして読みやすさを考慮した「情報の選別」が欠かせません。
情報を削ぎ落とし、本当に伝えたいことに絞り込む作業は、一見すると不親切に感じるかもしれませんが、実はそれが最もユーザーに寄り添った形となります。不必要な情報やリスクのある内容を排除することで、サイト全体の安全性が高まり、読み手は迷うことなく目的の場所にたどり着けるようになります。
インターネット上での発信は、世界とつながる大きなチャンスであると同時に、常にリスクと隣り合わせでもあります。今回挙げたポイントを意識しながら、自社のホームページを見直してみてください。書かない勇気を持つことが、結果としてあなたの活動やビジネスをより強固にし、多くの人から信頼される第一歩となるはずです。
このコラムを書いた人
さぽたん
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