ホームページ運用がうまくいく会社の共通点
目次
はじめに
新しいホームページが完成し、インターネット上に公開される瞬間は、どんな会社であっても期待に胸が膨らむものです。数ヶ月にわたる制作会社との打ち合わせを経て、洗練されたデザインが画面に表示され、自社の魅力が綺麗に整理された状態を見るのは、大きなプロジェクトを成し遂げた達成感に包まれます。しかし、運用において本当に企業間の差が開いていくのは、その華やかな公開日の翌日から始まる「終わりのない日常」をどう過ごすかにあるという印象を受けます。
公開から数年が経過しても常に活気に満ち、しっかりと問い合わせや売上といった成果を継続して生み出しているホームページがある一方で、最終更新日が数年前の古い日付で止まり、まるでインターネット上の空き家のような状態になっているものも少なくありません。この違いは、魔法のような最新ツールを導入しているかであったり、潤沢な広告予算の有無といった表面的な条件だけで決まるものではないように感じます。
日々の業務の中で直面する現実的な組織の課題や、地道な作業の積み重ねと正面から向き合えているかどうかが、運用がうまくいく会社に共通するポイントだと言えそうです。今回は、現場で日々ホームページの更新や改善と向き合っている方々の工夫の向こう側に見えてくる共通の傾向について、一緒に考えていけたらと思います。
「とりあえず更新する」という目的のない作業から抜け出している
運用の停滞のきっかけとしてよく耳にするのが、「何を更新していいか分からなくなった」という戸惑いの声です。立ち上げ当初は「週に一回はブログを書こう」「最新情報を発信しよう」と意気込んでいたものの、数ヶ月もするとネタが尽きてしまいます。やがて「夏季休業のお知らせ」といった必要最低限の事務連絡しか掲載されなくなるというのは、よくあるパターンです。
長期間運用がうまくいっている会社は、この「とりあえず何か更新しなければ」という強迫観念から、比較的早い段階で抜け出している傾向があります。彼らは「誰に向けて」「読んだ後にどんな行動を起こしてほしいのか」という現実的な目的を常に見失わないように工夫を重ねています。
これから自社のサービスを知ってもらい新規顧客を獲得したいのであれば、自社の商品がいかに素晴らしいかを一方的に語るよりも、ターゲットが今まさに抱えている悩みに寄り添い、解決策を提示するコンテンツが必要になるかもしれません。既存顧客に長く愛してほしいのであれば、購入後の細やかなサポート情報などを定期的に伝えていく方が喜ばれる可能性が高いでしょう。
目的が曖昧なままの作業は、担当者の貴重な時間とモチベーションを奪っていきます。限られた時間と労力を投じる以上、それが「誰の役に立っているのか」「自社のビジネスにどう返ってくるのか」という実感を持てるかどうかが、無理なく継続するための鍵になるのではないでしょうか。
「片手間」では決して育たないという現実を受け入れている
ホームページ運用において避けては通れない課題となるのが、運用体制の構築、つまり「時間と予算と人」の確保です。多くの企業で、更新担当者は本来の主要な業務を別に抱えており、「通常業務の合間を見て、手の空いた時にやっておいて」と兼務で任されているケースが散見されます。しかし現代のビジネス環境において、社員の時間が余ることなどほぼ皆無と言ってよいでしょう。結果として、直接的に明日の売上につながるわけではない更新作業は、日々の忙しさの中で後回しにされてしまいます。
運用が軌道に乗っている会社は、「片手間の作業では決してホームページは育たない」という現実を、経営層から現場までが共通の認識として受け止めているように感じます。ホームページは、24時間365日休まずに自社の魅力を伝えてくれる営業担当者であり、インターネット上の大切な店舗です。
現実の店舗であれば、家賃を払い、スタッフを配置し、定期的に清掃を行うためにコストや時間をかけるのは当然のこととして受け入れられます。それと同じように、ホームページという店舗を維持するためにも、「運用のための専用の時間」と「それを実行するための予算」を明確に割り当てているのです。
個人の頑張りに丸投げするのではなく、「毎週木曜の午前中はホームページ業務に専念する」というルールを設けたり、専門技術が必要な部分は外部のパートナー企業に費用を払って依頼したりと、精神論に頼らない仕組みを構築している会社ほど、無理なく良い状態を保てているという印象を受けます。
数字の向こう側にある「人の心」を想像し、小さな挑戦を繰り返す
ホームページを公開すると、アクセス解析などを通じて日々さまざまなデータが飛び込んできます。ページビュー数や直帰率といった数字の羅列は、一見すると無機質で冷たいものに思えるかもしれません。しかし、うまく育てている会社の担当者は、そのデータを単なる成績表として見るのではなく、画面の向こう側にいるユーザーの感情の動きや迷いとして読み解こうとする傾向があります。
ある重要なページの途中で多くの人が離脱しているデータがあったとします。ここで「数字が悪いから失敗だ」と落ち込むのではなく、「専門用語が難しすぎて読むのが面倒になったのかもしれない」「スマートフォンの画面だと、次へ進むボタンが目立たず迷わせているのかもしれない」と、ユーザーの小さな不満や戸惑いを想像するのです。
仮説を立てたら、一度にすべてを作り直して劇的な大成功を狙うのではなく、一つひとつ丁寧に小さな変更を繰り返していきます。ボタンの色を少し目立たせる、見出しの言葉を柔らかくするといった地道な作業の連続です。変更したからといって必ずしも期待通りに数字が良くなるとは限りませんし、思った結果が出ないことの方が多いのが現実です。それでも、うまくいっている会社はそうした小さなつまずきをネガティブに捉えず、次に活かすための貴重な手がかりとして前向きに受け入れるような、心理的に余裕のある土壌を持っていることが多いのではないでしょうか。
Web担当者を「孤島」に取り残さず、組織全体の取り組みにする
運用が次第に行き詰まってしまう組織の典型的なパターンとして、Web担当者が社内で孤立してしまう状況があげられます。他部署の人たちからは「パソコンやインターネットに詳しい人が専門的なことをやっている部署」と認識され、業務内容がブラックボックス化してしまうのです。こうなってしまうと、ホームページの情報は企業全体のリアルな温度感からかけ離れ、最悪の場合は担当者個人の日記のようになってしまう危険性があります。
本当に魅力的で、ユーザーの心を動かすホームページを維持している会社は、この部署間の壁をうまく乗り越えているように見えます。営業部門が日々お客様と接する中でぶつけられる率直なご意見や、カスタマーサポートに寄せられる切実な悩み、製造現場のちょっとしたこだわりといった、社内のあちこちに転がっている「現場の生の声」が、自然とWeb担当者のもとに集まってくる風通しの良い関係性が築けているのです。
「今日、お客様からこんな珍しい質問をされたから『よくある質問』に追加しておいてくれないか」「今度の新商品は、カタログには載っていないけれど、実は開発の裏側にこんな試行錯誤があったんだよ」といった雑談のようなやり取りの中にこそ、コンテンツを豊かにする最高の素材が隠れています。運用は決してWeb担当者だけの孤独な作業ではなく、会社全体のコミュニケーションの豊かさを映し出す鏡であると言っても過言ではないのかもしれません。
完璧な状態を待たず、「未完成」のまま走りながら考える柔軟性
最後に、もう一つだけ付け加えたい傾向があります。運用がうまくいく会社ほど、良い意味で「完璧な状態へのこだわり」を手放しているということです。情報を発信する前には、どうしても「絶対に間違ったことを書いてはいけない」「もっと綺麗な写真を用意してから公開しよう」と、準備に時間をかけすぎてしまう心理が働くものです。
しかし、インターネットの世界はあまりにも変化のスピードが早く、100点満点の完璧な状態を社内でじっと待っていたら、いつまで経っても新しい情報を世に出すことができません。「まずは現在のベストの状態で出してみて、ユーザーの反応を見ながら後から少しずつ修正していけばいい」という、少し肩の力を抜いた柔軟さを持つことが、息切れせずに長く走り続けるための秘訣のようです。
ホームページというものは、制作会社からデータが納品されたその日がピークなのではなく、日々の手入れを通じて、少しずつ自社のカラーに馴染ませていく植物のようなものだと言えるのではないでしょうか。
決して派手で目立つ作業ばかりではありませんし、結果がすぐに見えない地道な業務の連続かもしれません。しかし、その実直な現実から目を背けず、自社の等身大の姿を少しずつでも外に向けて伝えようと試行錯誤を続ける会社には、自然と共感する人が集まり、結果としてホームページがビジネスの最も強力な味方になってくれるのだと思います。
このコラムを書いた人
さぽたん
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